2011/5/1〜色々な「物語」(〜4/30・掲示板開設までの間に)

棋士VSコンピューター(1)

米長会長の日記を読むと、10月下旬開催予定の「コンピュータとプロ棋士の対局について」打ち合わせをされたとの記述がある。一方、ご自身のサイトでは「コンピュータソフトと私の戦いを記録してゆく」という試みの連載も始められるようだ。私は勝手に「米長邦雄永世棋聖」が登場するものだと思っている。おそらくは「女流棋士のリベンジ」という機会、今回は与えられないだろう。

◆公益法人認定初年度の「記念対局」としては、その推進役を最も果たした「会長」の登場は話題性がとれる。エキシビジョンとはいえ、公開対局で加藤一二三九段を破った。現役時は永世棋聖の称号も獲得し、今日も、話題には事欠かない人物である。連盟会長というネームバリューもある。

◆連盟サイドとしては「会長が敗れたら」という事について、多少は考えるだろう。しかし、これとて心配するほどのものでもなさそうだ。何故なら、米長永世棋聖は「現役」ではないからである。言い訳というと失礼だが、敗れたときには「勘が鈍っていた。次は私よりも強い現役陣、誰か敵を討ってちょ」で、きっと笑い話になる。今回、A級やタイトルホルダー、もしくはその経験を有する男性棋士が登場し、負けでもすると、緊張感は一気に高まる。人間が追い込まれてしまう。それはまだ「避けたい」と考えるのではないか。

◆今回の「ソフトVS米長永世棋聖」の棋譜公開も、ある意味では「プレイベント」になる。いつかは戦うことになるであろう棋士たちも、或いは氏のHPを眺めることはあるのかもしれない。もし、米長永世棋聖が登場しなくとも催しの盛上げとしては一定の効果を有する。

◆さて、これを米長棋聖はどうやって公開するのだろう。ひとつは連盟の携帯サイトである。そして、もうひとつは昨年同様「駒桜ファンクラブ入会特典」として用いるのではないだろうか。
「女流の敵は米長がとる!! 乞うご期待」というシナリオだ。これをやると、形式上は、駒桜のサイトでも女流棋士は「米長会長、頑張ってください」とのメッセージを示すことは必定となる。その結果としての「見え方」は、会長と女流の関係が円滑なものであることを広く訴求する充分な効果が期待できるのだ。具体的に「見えるもの」はそれだけで、実は強いのである。

いずれにしても現役の男性棋士を登場させるということは「ない」と思われる。私など、更なる盛り上がりを考えるというのであれば、清水市代六段の敵討ちは、同じ高柳門下を代表して、ぜひとも中原誠十六世名人に登場いただきたいのだけれど。そうなれば私は本当に「手に汗握る」ということになる。

盤側の談話室でビストロ氏が『「挑戦する」なんて言葉を見ると 演出されたものであっても実はどきどきします』と書かれている。私は「清水市代さんとあから対決」で、その時は清水さんを応援していたが、その後刊行された「閃け!棋士に挑むコンピュータ」(梧桐書院)を読んで、プロジェクトメンバーの方々、関られた全ての方々の研究開発の姿勢というものに感服もしたのである。人間の技術、機械の技術、その一瞬のときめきのために、これほどに多くのスタッフの時間と英知が投入された。素晴らしいことだ。勝負だから、結果として必ず勝ち負けはついてくる。しかし「勝ち負け」だけでは断じてない。機械に思考を与えるのもまた、人間なのである。私は理系は全くの門外漢だが、この一冊は、そんな読者にとってもわかりやすい膨大な挑戦の記録である。ぜひ、みなさんにも一読をお勧めしたい。

次回以降、このテキストを一部紹介していきたいと思っている。

                         JC IMPACTU



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