2011/5/1〜色々な「物語」(〜4/30・掲示板開設までの間に)

(社)日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(3)

前回「NHK将棋の時間」(「NHKステラ番組予告記載の変更)について、私なりに調べてみたいということをここに記しました。正直、震災のニュース報道をみながら「些かの違和感」を今も覚えてはいるのですが、ある程度、私なりに納得できる面もあり、時が過ぎるにつれて、忘れてしまっても仕方のないことなので、ここに残しておきたいと思います。

最大のポイントは「(社)日本将棋連盟がNHKに対して何らかの不当な圧力をかけたのか」ということになろうかと考えます。いずれも複数の関係者から私が直接に情報を得たものです。情報提供者の秘匿という面から出処については開示をしません。

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◎出演者K氏を巡る状況について(複数の関係者・情報提供者より)

●K氏にNHKが聞き手を依頼したが、直前になってキャンセルの申し出が示された。

●キャンセルの理由については「NHKの内部事情」

●NHKからK氏に対して明確な謝罪が表明された。

●番組の降板について、K氏の落ち度は全くないということがNHKから示された。
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この点については、複数の関係者、情報提供者が異口同音に同様の説明をされました。従って↑の点についてこれを「疑う」理由は私には全くありません。

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◎LPSAの今回の対応、状況について(複数の関係者・責任ある立場の人々)

●今回、LPSAの所属棋士に対して、このようなことはなかった旨を確認している。

●LPSAはこの事実を知らなかったし、K氏もこの件について、LPSAに調整などの依頼は一切行っていない。従ってLPSAとしては本件について、mint氏に対する時のような動きは行っていない。
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◎NHKの対応を巡る状況について(複数の関係者・情報提供者より)

●「NHK将棋トーナメント」の(司会・聞き手)については、将棋関係者、視聴者の意見を参考にNHKの判断で決めている。
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で、私は放送関係者(現役、OBなど複数)に今回、何故このようなことがおこったのかを尋ねてみた。

「まぁ、正直、自社の番組情報誌の告知に掲載されたものが変更になるわけですから、色々な話になると思います。それは仕方がありません。最終的にはNHKの判断というのは、やはりNHKが視聴率の問題に拘らざるを得なかったという面があると思います。というのは、番組ではいちいち紹介はしませんが、矢内さんの司会というのは、人気があったんですよ。ファンレターもよくきていましたしね。それはやはり視聴率に直結する。昔と違って、NHK教育放送といえども、今では格段に数字を気にします。それでも昔、大山康晴十五世名人が会長の頃でしたか、「将棋の時間」の放送時間枠を「囲碁の時間」と変更して欲しい。または一年毎に交代して欲しい」という要請がありました。二上会長の時代にもあったのかな。ただ、NHKはその要請を突っぱねて現在に至っています。時間を移して「囲碁の時間」ほどの視聴率がとれるという確信はなかったですからね。当時は。
NHKの番組というのは、みなさまからお預かりした受信料を基に番組が制作されます。民放番組で連盟がスポンサーというならば、出演者の変更という要請は検討しますが、番組自体を制作しているのはNHKです。編成権も制作もNHKがやっている。勿論「将棋番組をやめる」ということなどできはしませんが、それは連盟云々というよりも、固定的な一定の視聴者が存するからです。私などは男性の聞き手の方が好きですし、番組の制作サイドでもそういう話で進めていたのでしょうが、どこかの段階で変わったのでしょう。それで視聴率がとれるのかみたいな話が。将棋連盟にしても、例えば番組自体が早朝や深夜枠、或いはBS枠に移動になれば困るという面があるわけですから。それともうひとつは、K氏が聞き手、矢内さんが解説というのは、これはこれで本人にも視聴者にも「辛い」という面もあったのかもしれません。K氏には落ち度は全くありませんから、これはNHK内部のみっともない話ではあります。そして、K氏は今回「NHKに貸しを作った」わけです。当然のことですね。その貸しをお返しすべくNHKはK氏に対して誠意を尽くすことになります。これも当たり前のことですよ。結果、どういう番組になったかといえば、先崎八段が聞き手として出演されました。それは番組の絵面としては、視聴者に対して、当初の予定に比べて遜色はないと思います」

この話は、私には説得力を充分に感じさせてくれるものであった。そもそも、米長邦雄連盟会長が、ラジオ時代から比べれば、半世紀以上も続いてきた「将棋番組」の存否を賭けて、このレベルの話で、しかも公共放送のNHKと喧嘩することはしないと私自身、思っている。勝ち目のある喧嘩しか、やらないだろうと。

NHKとて「視聴者を意識し」高い視聴率をとりたいということは、大義名分以上に重視しているということだろう。この理由は、話としてストンと胸に落ちるという気がする。

10日の日曜日、私はLPSAサロンの震災チャリティイベントにお邪魔させていただいた。蛸島彰子五段、石橋幸緒四段(高柳門下)の指導対局を受けたかったという面もあったのだが、それと同時に、新しい事務所で棋士やスタッフのみなさんが、どんな雰囲気でイベントを実施されているのか、この目でみてみたいと思ったのである。駒音の参加者何人かそのままに「尖鋭的な」感じなのか、それとも連盟に苛められて精も根も尽き果てたようなどんよりとした感じなのか、それとも全く違うのか。

実に明るく、活気あふれる雰囲気だった。楽しそうに仕事をされていた。蛸島五段にはエッセイにサインまで頂戴し、それこそ「棋譜読み上げ」の頃の懐かしい話を披露してくださった。過日、高柳名誉九段の奥様を囲む会で一門の有志が集まられたとのこと。中原十六世名人もお元気ということでこれまた嬉しい。
「中原名人の頃は、いい時代でしたね」と蛸島五段が微笑まれた。私も本当にそう思っている。

角落ちで蛸島五段と石橋四段と対局。どちらも負け。石橋四段とは序盤で必勝の体制になったのだが、徐々に厳しい手が飛んでくる。お客さんに気配りを重ねながら手だけは辛い辛い。今度は、もう少しいい将棋を指したいと思うし、ささやかながらも継続的に自分ができる支援を行っていきたい。心底、そう感じた。

会場には石橋幸緒四段のお母様もいらっしゃった。元気て明るい、たくましいお母様である。このお母様がいる限り「LPSA」は小さくとも輝き続けるだろうと確信した。実は「石橋のかあちゃん、というのは忘れないセリフですよね」と、水を向けたところ、破顔一笑。「会長さんに覚えてもらえる棋士の母親なんて、滅多にいないわよねぇ」と、実に逞しい。

少しゆっくり話をさせていただいた。おそらくお母様も石橋さんも蛸島さんも、羽生善治名人を「将棋バカ」などとは決して思われてはいないだろうし、将棋番組を「止めてしまえ」とも考えてはいない。

無理して連盟と一緒になる、追随する必要など全くないという実感を私は抱いた。

私はここに私なりに調べたことについて記してみた。勿論、それが「全ての真実」「全ての事実」などと述べるつもりはない。ただ、連盟や米長会長を「敵」と定め、何が何でも悪だと決めつける、私は、そういう物事の進め方には、ついていけなくなった。だから自分で調べたのである。

もう少し言うならば「連盟を、米長会長を」批判することで、LPSAが発展するわけでも栄えるわけでもない。そのような贔屓の引き倒しのような行為と、乱暴な発言、暴言が、結局は将棋ファンも愛想を尽かすことに加担していないのかな、と私は思っている。

私はそれをLPSAが望んでいるとは、やはり思えない。だから、慎重にありたいのだ。

                                JC IMPACTU



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